透析医療への取り組み
感染症対策
透析室は、日常的に血液を取り扱うことから院内感染が発生する可能性が高い場所と見なされます。
患者さまの免疫力が低下しがちなことも、その可能性をさらに高める結果となります。
そのため当院では、院長自ら陣頭指揮をとり、日々できるかぎりの感染予防策につとめています。
- アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインや厚生労働省のマニュアルに準拠した、独自の院内感染対策マニュアル作成
- B型肝炎、インフルエンザなどに感染している患者さまに対応した感染症ベッドの配置
- 飛散する血液からの院内感染を防ぐため、スタッフの手袋、マスク、ビニールエプロンの着用義務化
透析機器について
透析液は、人工腎臓透析用剤と水道水を使って作られます。
しかし水道水にはさまざまな物質が含まれているため、事前に多様な機器を使い透析に適したものへと衛生的に精製しなければなりません。これに対しては、臨床工学技士が細心の注意を払ってメンテナンスをおこないます。
また透析室のベッドサイドコンソールについても、最新型のものを用意し、患者さまの状態をモニタリングするだけでなく、ここでも透析液の浄化をおこなうフィルターが装着されています。
フットケア
透析患者さまの場合、尿毒素や栄養不全、糖尿病などの影響から下肢に以下のような問題が発生する懸念があります。
- 閉塞性動脈硬化症(ASO)、末梢動脈疾患(PAD)
- 免疫力低下による細菌感染
- 皮膚が弱くなり、乾燥する
- 神経障害による知覚の鈍化
そのため靴ずれや深爪、魚の目、胼胝(タコ)といった通常問題視されない小さな傷や病変が、あっというまに重症化してしまう場合があります。最悪のケースでは、下肢切断ということも考えられ、そこに至った患者さまの約半数が1年以内に死亡するともいわれます。
そのため患者さまの足の状態には常に注意が必要であり、当院では定期的に医師およびスタッフが下肢の診察をおこないます。高齢患者さまですと視力が低下し、足先にまでなかなか注意が向けられない方も多いため、当院はフットケアに力を入れています。
食事指導
当院では、常勤の管理栄養士が患者さまのベッドサイドをまわって、日々の食事だけでなく健康食品やサプリメントのことなど、幅広くご相談を承っております。
やはりよく聞くお悩みは「食べてはいけないといわれるばかりで、何を食べればいいのか?」というものです。
しかし、毎日きちんと食べて栄養状態の良い体を維持することは、毎日元気に過ごす上で必要不可欠な要素です。たしかに気をつかうべきポイントはいくつもありますが、身も心も満たされる食生活をめざす工夫をお伝えできればと願っております。
当院の管理栄養士は透析療法にも精通し、必要に応じてすべてのスタッフと連携して薬剤内容や透析処方の見直しをおこなうなど、チーム医療の一員として食事指導をおこないます。
ベッドサイドだけでなく、あらかじめご相談いただければ別室での面談や、ご家族に同席いただくことも可能です。